経済コラムマガジン 平成9年2月10日より
経済コラムマガジン




14/10/27(818号)
増税派の素顔

  • 財務当局や中・韓に忠誠

    先週号で、安倍政権に消費税の10%への増税を促している勢力は、増税による安倍政権の弱体化を気にしないか、あるいは安倍総理の存在を煙たがっている人々だと述べた。例えば財務当局やそれに繋がっている御用新聞は、増税さえ実現すれば良いのであり、安倍政権(あるいは日本)の行方なんてどうでも良いと思っている。自民党内の税調は、自民党の今後よりむしろ財政再建にしか関心を持っていない(しかも増税によって財政が再建する保証はない・・橋本増税では反対に税収が減少)。税調のメンバーと御用新聞は、自民党や安倍政権より財務当局に忠誠を尽くしているのである。

    御用新聞は、増税に関して平気で嘘の記事や解説を載せてきた。先日もある代表的な御用財政学者は、増税を止めれば「安倍政権は求心力を失い弱体化する」といった明らかな嘘話を日経新聞で展開していた。この御用財政学者も財務当局に忠誠を尽くしているに過ぎない。

    日本の近隣には、安倍総理や安倍政権を煙たく思っている国がいくつかある。そして政権与党(OBを含め)にも、これらの国々に通じる者達がいる。ほぼ例外なくこのような政治家達は増税を推進している。中には「私は安倍総理のイエスマンではない」と勇ましいことを言っている自民党幹部がいる。たしかにこの政治家は安倍総理のイエスマンではないかもしれないが、どこかの国のイエスマンなんだろう。良識振っているが、これが増税派の素顔であると筆者は見ている。


    4月の8%への増税が、どの程度、経済に悪影響を及したかが問題になる。ただいまだ信頼できる計量分析や実績(例えば7〜9月の経済成長率)を見てないのではっきりしたことは言えない。しかし理論上、増税は消費者から政府への購買力の移転である(年間で8兆円)。経済成長にこの増税がマイナスであることははっきりしている。

    また今年度も消費税の増税だけでなく、数多くの細かな増税や社会保険料の引上げ、また年金支給額の減額が行われている。これらも日本の経済成長の足を確実に引っ張る。さらに13/11/25(第775号)「アベノミクスの行方」で述べたように、補正予算額同士を比べれば今年度は昨年度より真水で5兆円程度減額されている。つまり今年度の日本の経済成長がゼロないしマイナスになることは、一年も前から分っていたことである。「消費税増税の悪影響は軽微」「4月の増税後はV字回復」と言っていた、経済学者、エコノミスト、財界人などは間抜けな経済の素人か、安倍総理以外の勢力(財務当局や中・韓)に忠誠を示している者達である。

    一点だけを見て経済全体を論じること(日経新聞などによく見られる経済解説)は、リスクを伴うため筆者はなるべく避けて来た。しかしあえて最近の街での気になる異変を一つ取上げる。自動販売機の飲み物の値段が下がっているのである。昔100円であった缶コーヒはこれまで値上げされ、120円、130円となっていた。ところが最近になって100円まで値下げされているケースが目立つようになった。要するに売れなくなったのである。アベノミクスによるデフレ脱却どころではなくなっている。


    先週号で、自民党、公明党、共産党などの消費税増税に対する考えを取上げた。今週は、民主党と維新を取上げる。まず民主党は増税を主導した党である。また増税を押し進めた者達が党の幹部として復活している。

    民主党の今の基本路線は「議員定数削減など政治家にとって痛みとなる改革が行われない場合には、消費税増税に反対する」である。つまり場合によってはチャブ台返しを行うと宣言しているのである。維新は民主党のこの方針に賛同している。したがってこの宣言を言葉通り解釈する限り、安倍政権が消費税率を上げないと決めた場合には、あえて反対はしないということになる。しかし混乱している民主党だけに、その時になってみなければ分らないことが多い。


  • 地域代表の上院の方が下院より上位

    自民党の中に「増税に慎重な国会議員の集り」ができ、一方で増税を実現させる議員の会合も開催されている。ようやく消費税増税を巡って自民党内に議論が起ってきたと言える。筆者は、このような動きが何故昨年の増税決定の際に出なかったのか不思議でならない。

    ただ慎重派の議員連盟にはとんだ落とし穴が待っていると筆者は危惧する。慎重派は、生真面目にも増税を先送りした場合の代替財源を議論することにしている。しかしこの議論自体が増税派の土俵に乗ることになる。


    筆者なら「景気が消費税増税によって落込んだのだから、再増税なんてとんでもない」と突っぱねる。だいたい消費税増税は「日本の財政は破綻寸前」という大嘘を前提に始まったものである。実際、財政破綻どころか日本の国債利回りは世界一低い水準で推移しているのである。

    長期国債の利回りが下がり続けるだけでなく(0.47%)、とうとう新発の3ヶ月短期国債の利回りがマイナスとなった(流通利回りがマイナスになったことはこれまでもあった)。つまり国は借金をするほど儲かるといった事態になっている(経済状態がそれだけ悪いことを反映している)。したがって日本では、今こそ国の債務を増やすことがむしろ正しい政策であると筆者は主張したい。


    「日本の財政は最悪で財政破綻の寸前」という虚言・妄言については来週取上げる(何回も取上げているので正直飽きているが)。筆者が心配しているのは、慎重派が相手(もちろん増税派)の作戦に乗せられて、財源として他の増税や歳出削減を示すことである。特に慎重派には「小さな政府」を主張する構造改革派も参加していると見られるので要注意である。

    最悪のケースは、慎重派がとんでもない歳出削減案を打出すことである。その典型例の一つが議員歳費の削減や議員定数の削減である。前段で述べたように議員定数の削減は、民主党が消費税増税の条件にしている。慎重派が逆に議員定数削減を増税延期の代替財源として示す可能性がある。「これによる歳出削減額は小さいが政治家としての姿勢が大事」とか言い出しそうである。


    そこで今週号の最後に議員定数の問題を簡単に取上げる。衆議院については「四増五減」で今のところ一応決着がついたと筆者は見ている。しかし問題は参議院である。議員定数1の小さな県は、これ以上定数は削減できない。ところが司法はこれを「違憲」あるいは「違憲状態」と判決を下している。

    筆者は、参議院は単純に有権者の増えている都道府県の議員定数を増やせば良いと考える。ところが変な宗教にとりつかれているのか、日本の政治家やこれを取り巻くマスコミは、議員定数を増やすことに異常な抵抗を示す。これも不毛な財政再建運動の影響の一つであろう。しかし財政再建を声高に叫んでいる者の中には、明らかに日本を潰そうという反日分子が相当いると筆者は見ている。とうとう小さな県を隣の県と合併させると主張する大バカ参議院議員まで現れた。しかも何も考えていない民主党は、このトンデモ案に乗ろうしている。


    そもそも有権者数と議員定数の倍率について大騒ぎしているのはどうも日本だけである。例えば米国(下院が衆議院、上院が参議院に該当)の上院の議席倍率の格差は途方もないくらい大きい(欧州議会についても、加盟国の人口と議席数や持票を調べたが同様の状況になっている・・小さな国が圧倒的に有利)。しかしこれが表立って政治問題になっているという話は聞いたことがない。人口が3千4百万人のカルフォルニア州と49万人のワイオミング州の上院の定数は同じ2である(上院議院の議員の任期は6年で、2年毎に三分の一ずつ改選される)。実に人口比では、68.6倍もの格差がある(人口比と有権者数比はほぼ同じと見なして)。人口の小さな州は他にも沢山ある(バーモント州61万人、アラスカ州63万人など)。つまり上院議員は一つの地域(あるいは国に近いもの)の代表として同等に扱われている。

    そして重要なことは、その上院が有権者数を比較的反映している下院より力が劣るということが決してないということである。たしかに予算の発議は下院が行うが予算承認の権限は上院と下院は同等の権限を持っている。また立法権も同等である。

    それどころか条約の批准や指名人事(大使、裁判官、省庁長官、軍将官など)などの大統領権限の執行には、上院の三分の二の同意と助言(委員会への付託)が必要とされている(いまだに米国が海洋法条約を批准できないのもこれがネックになっている)。つまり客観的に見て地域代表である上院の方が下院より上位にある。それどころか日本のように衆議院(米国の下院)の三分の二の賛成で、参議院(米国の上院)で否決された予算案を再可決するといったことはできない。

    ちなみに首都のワシントンDCは上院議員がいない(下院議員は選出されるが議決権を持たない)。つまり首都である東京都の人々には選挙権がほぼないという話である。たしかに東京の参議院選挙ではよく奇妙な議員が選出される。このような状態なら東京都民は選挙権を持たない方が国のためににも良いのではないかとさえ時々思われる(半分冗談であるが)。とにかく参議院に関しては「一票の格差」という馬鹿げた騒ぎはもう止めた方が良い。このために憲法改正がどうしても必要と言うのであれば、さっさと憲法を改正すべきである。



来週は、日本の財政が破綻の危機にあるという大嘘を取上げる。



14/10/20(第817号)「消費税増税と八代亜紀」」
14/10/13(第816号)「増税なんて必要ない」」
14/10/6(第815号)「日経新聞のねつ造解説」」
14/9/29(第814号)「メディアはねつ造だらけ」」
14/9/22(第813号)「人手不足は本当か」」
14/9/15(第812号)「経済学とニヒリズム」」
14/9/8(第811号)「サミュエルソンは新古典派?」」
14/9/1(第810号)「ハシゴを外されそうな日本」」
14/8/25(第809号)「ハシゴを外された話」」
14/8/4(第808号)「トマ・ピケティの「21世紀の資本論」」
14/7/28(第807号)「三教授のサマーズ論の解説」
14/7/21(第806号)「一家に一台が需要の天井」
14/7/14(第805号)「ポンコツ経済理論の信奉者達」
14/7/7(第804号)「経済成長の三つのパターン」
14/6/30(第803号)「サマーズとトマ・ピケティ」
14/6/23(第802号)「奇妙な話ばかり」
14/6/16(第801号)「石油は人々をおかしくさせる」
14/6/9(第800号)「ベトナム沖の一大事」
14/6/2(第799号)「金利低下の背景」
14/5/26(第798号)「政策目標の変更」
14/5/19(第797号)「「美味しんぼ」騒動」
14/5/12(第796号)「使えない経済指標」
14/4/28(第795号)「推理小説のような中国経済の実態」
14/4/21(第794号)「中国1〜3月期のGDP成長率」
14/4/14(第793号)「日本のマスコミの問題体質」
14/4/7(第792号)「ウクライナとロシアの関係」
14/3/31(第791号)「怪しくなったアベノミクスの行方」
14/3/24(第790号)「中国のバブル生成の過程」
14/3/17(第789号)「バブル経済崩壊の序章」
14/3/10(第788号)「中国経済にまつわる奇妙な話」
14/3/3(第787号)「中国経済に変調(その2)」
14/2/24(第786号)「中国経済に変調」
14/2/17(第785号)「経済戦略会議から15年」
14/2/10(第784号)「理論と現実の狭間・・金利編」
14/2/3(第783号)「経済理論と現実の狭間」
14/1/27(第782号)「なつかしい経済理論の復活」
14/1/20(第781号)「窮地に立つリフレ派」
14/1/13(第780号)「新春のトピックス」
13/12/23(第779号)「周辺国の異常行動」
13/12/16(第778号)「ピカピカのバランスシート」
13/12/9(第777号)「中谷巌氏の変心」
13/12/2(第776号)「何処に行った経済成長戦略」
13/11/25(第775号)「アベノミクスの行方」
13/11/18(第774号)「ここ一ヶ月の出来事」
13/10/14(第773号)「虚言・妄言の判断基準」
13/10/7(第772号)「消費税増税、次の焦点」
13/9/30(第771号)「消費税にまつわる諸問題」
13/9/23(第770号)「「声なき声」が届くか」
13/9/16(第769号)「利払い額のGDP比率の推移」
13/9/9(第768号)「利払い額で見る財政の健全性」
13/9/2(第767号)「消費税増税は雲行きが怪しくなった?」
13/8/26(第766号)「財政が危機という怪しい話」
13/8/10(第765号)「消費税増税は絶対に避ける道」
13/8/5(第764号)「消費税増税を促す包囲網」
13/7/26(第763号)「参議院選の結果を考える」
13/7/15(第762号)「アベノミクスの評価他2件」
13/7/8(第761号)「デフレに興味のない大新聞」
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13/6/10(第757号)「雲行きが怪しいデフレ脱却」
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13/2/18(第744号)「群盲象をなでる」
13/2/11(第743号)「まず印紙税の廃止」
13/2/4(第742号)「「構造改革」と「規制緩和」の本当の姿」
13/1/28(第741号)「意志を持った「やじろべい」」
13/1/21(第740号)「金融政策に対する提言」
13/1/14(第739号)「年頭にあたり」


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