- 最後の項目
リサーチ会社のアンケート項目で、最後に取上げるのが税制である。この設問と回答は次の通りである。
【Q1】税制について。もし、新たに国民から税金をとるとしたら、どんな税金をとりますか?(例・愛人税、騒音税など)
1.Eメールの発信税の導入
2.軽油税の課税方法を蔵出し方式に改定
3.印紙税の廃止(これは増税ではなく減税)
【Q2】Q1の回答についてご質問致します。なぜ、その政策を打ちたてようと考えたのですか?(例・愛人税の場合・・・愛人を囲っているような人は金持ちだから。金持ちから税金をとりたい。)
1.Eメールはどれだけ多数の発信をしてもコストがほとんどかかりません。そのため商売やいたずら目的で一遍に何百万通も発信する者がいます。いわゆる迷惑メールで、受取る方が被害を被っています。これをこのまま放置すれば、最悪の場合、インターネットのメール機能が崩壊します。
2.軽油税は軽油を顧客に売った業者の申告納税となっています。ところがチェックが甘いため、脱税軽油の販売が横行しています。中には品質に問題があるニセ物軽油があり、大気汚染の原因にもなっています。これをガソリンと同じように、石油元売りのタンクに蔵置している段階で課税する方式に変えればこれらの問題はなくなるはずです。
3.民間の信用機能の一つである手形の発行が減少しています。その大きな原因が、手形や領収書に貼る印紙代と考えられます。また印紙税を廃止すれば、銀行振込手数料もその分安くなります。
【Q3】Q1の回答についてご質問致します。その政策はどのようなシステムになっていますか?(例・愛人税の場合・・・愛人バンク会社の消費税アップ。)
1.Eメール一通当たり0.01円くらいを考えています。百万通で一万円です。一ヶ月の合計で、税額1,000円までは非課税にすれば、一ヶ月10万通まで税金は掛かりません。また利益を目的としないメールは、申告によって非課税にすれば良いと考えます。ただしこの税制は、各国の政府やプロバイダーの協力が必要となります。
また迷惑Eメールに似たものに、業者による携帯電話のワンギリコールがあります。これにも課税することが考えられます。こちらは一通話当たり1円の課税でも良いと思います。
2.ガソリンの揮発油税と同じ課税方法ですから、税の執行に問題はないと考えます。ただ軽油税は、都道府県民税なので税収の配分が問題になってくるかもしれません。しかしこれについては、過去の実績で案分するといった方法が考えられます。
3.廃止ということで問題はないと考えますが、契約書などの文書に関する印紙税については残すという意見があるかもしれません。
税制については上記の3件を回答として送った。ただし三番目の印紙税の廃止は、新しい税制ではなく減税になる。この中で筆者が一番推したいのは、第一番目の「Eメールの発信税の導入」である。これについては、筆者の経済思想というものが背景にあり、来週号でさらに詳しく取上げることにする。
- 官庁の縄張り
まず二番目の「軽油税の課税方法を蔵出し方式に改定」である。同じ自動車の燃料に掛かる揮発油税(以下ガソリン税と表現)は、国税で蔵出し税になっており、元売りの貯蔵タンク(保税タンク)から出荷された時点で課税される(財務省の管轄)。このため特に問題は生じていない。
一方、軽油税は販売業者が消費者に販売した軽油について、各々が都道府県に申告納税している。ところが軽油の流通経路は複雑であり、軽油税は不正の温床となっている。灯油などの非課税品が軽油に混入されても、外見で判断がつかない。また軽油のユーザはトラック業者などに代表されるように大口のところが多く、これが軽油税脱税の誘因となっている(脱税はやばいが、バレなければ利益は大きい)。
脱税軽油は昔から問題になっているが、一向に解決がなされる気配がない。またこれが色々な方面の不正な資金源にもなっている。さらに不純物が混入された軽油によって引き起される大気汚染も深刻な問題である。
軽油税もガソリン税と同様、元売り段階で課税すれば、大半の問題が解決することが分かっていても、課税方式の変更がどうしても実行されないのである。この障害の一つは軽油税の都道府県への配分方法であろうが、この問題の解決は可能と思われる。もう一つの重要な障害は役所間の縄張り争いと筆者は考える。ガソリン税が財務省の管轄であり、軽油税は地方税で総務省(旧自治省)の管轄下にある。
税制の体系は、管轄の省庁が異なるといびつなものになる。同じ自動車の燃料であっても課税方法が異なり、上記のような問題を生じているのである。さらに財務省管轄の消費税についても、これに関連した問題が生じている。ガソリンはガソリン税と消費税の二重課税になっている。一方、軽油は軽油税の課税前の価額で消費税を課税し、これに軽油税を上乗せして、最終的な請求額を算出している。軽油税の二重課税を回避するということが目的である。
しかし二重課税回避と言葉は美しいが、これによって末端の販売業者(まともな)は複雑な計算処理を強いられる。世の中には二重課税・三重課税になるになるものはゴロゴロしている。だいたい石油に関しても、他に原油の輸入関税や石油税が掛かっているのだから、二重課税回避と言っても切りがない。必要なら消費税分だけ軽油税を減税しておけば、実質的に二重課税を回避できる。後は財務省と総務省の間で消費税の取り分を調整すれば良いのである。しかしそういう方法を官庁は絶対に採ろうとしないのである。
税制に関して、役所間のくだらないな縄張り争いによって国民は迷惑を被っている。消費税がスタートした時、41円切手、62円切手なる端数のある切手が登場した。40円切手、60円切手に単純に消費税を上乗せしたのである。国民の不便を顧みず、当時の郵政省はこのようなことをやっていたのである。一方、財務省(当時大蔵省)が管轄しているJTは、たばこを一旦値下げして消費税によって端数が出ないよう自動販売機対策を行った(その後何度も値上げしたが)。
何と41円切手・62円切手を発行した当時、郵政省は41円切手と62円切手を数枚ずつ組合わせ、1円単位の端数が出ない切手の自動販売機を設置した。全く使いものにならない自動販売機であった。郵政省のエリート官僚は国民の不便を全く考えないのである。筆者は「こんなくだらないことを考える官庁はそのうちなくなる」と漠然と思ったが、本当に郵政省は総務省に吸収されなくなった。
官庁が縄張り争いを行うことはある面ではしょうがないが、これを調整するのが政治の役目である。ところが省庁間の問題に対しては政治の力はほとんど無力である。昔から行政改革と言われているものが行われているが、官庁の縄張り争いの方は一向に改善されない。
力のない政権ほど行政改革を唱えるが、これは行政改革がマスコミの受けが良いからである。しかし日本の行政改革の実態は、縄張り争いなど複雑な問題を解決するのではなく、本体の仕事を外局や役所の息のかかった団体に移すことである。筆者は、今日行政改革と言われるものがなされることによって、むしろ行政がどんどん悪くなっていると考える。実際、行政改革によって政治のチェックがかかりにくい組織がどんどん増えている。日本においては不思議なことに、行政組織と大学入試制度は触れば触るほど悪くなるのである。
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