- アンケート調査への回答
昨年の11月の下旬、突然、知らないリサーチ会社から筆者に「あなたがもし政治家ならどのような政策や法案を提案したいか」というアンケート調査があった。いくつかの質問項目があり、その中に「男女平等」に関するものがあった。昨年の11月といえば、ちょうど皇室典範の改正について有識者会議が答申をまとめ、その内容が公表された頃である。当時はようやくマスコミがこれを取上げ始めた頃であり、皇室典範改正については世間の関心も低かった。しかし筆者は、男女平等論としてはやはりこの皇室典範改正問題を取上げ、次のように回答した。
【Q1】男女平等について。男女平等についての政策、または男女平等論に反旗をひるがえすような政策が何かありましたらお書き下さい。(例・女性天皇制など)
今日話題になっているのが、皇室の後継問題です。女系を認めるか、あるいは今のまま男系を守るかということがポイントになっています。有識者の諮問会議では、男系・女系といった観点を離れ、第一子優先による皇位継承が答申されています。この答申は現法制の男女平等論に強く根差したものと説明されています。しかし私としては、皇室にはやはり男系を守ってもらいたいと思います。
【Q2】Q1の回答についてご質問致します。なぜ、その政策を打ちたてようと考えたのですか?(例・女性天皇制の場合・・・天皇が男性ばかりではおかしいから。)
まず日本の社会にはまだまだ男子優先の考えが根強くあります。家督を継ぐとか家業を継ぐといった場合、よほど大きな能力の差がない限り、女性より男性の方が座りが良いとまだ多くの人々は感じています。したがって国民は、天皇は男性ということをまだまだ当り前と受取っています。
日本の皇室は、万世一系のもと数千年も続いてきました。またこの万世一系は男系を前提にしています。男系を守ることについては、遺伝子学といった医学的見地や、外部からの皇室の支配を阻止するといった観点から合理的な伝統であるという意見があります。
私は、このような専門的な意見を別にしても、男系の維持を望みます。まず男系でこれだけ長い間続いてきたこと自体に価値を見い出します。その間、先人は、男系を守るために並々成らぬ苦労をしてきているのです。
日本の悠久の歴史に比べれば、我々の一生は一瞬です。そんな一瞬しか歴史を担わない我々が、数千年も続いてきた皇室の根幹に関わる事柄を軽々しく変えて良いとは思われません。もっと歴史に対して謙虚になるべきです。そのためにも男系の維持を前提にした方策を考えるべきです。
【Q3】Q1の回答についてご質問致します。その政策はどのようなシステムになっていますか?(例・女性天皇制の場合・・・皇太子は男女問わず第一子)
旧皇族の復活も一つの案です。徳川幕府は、本家が途絶えても、水戸・尾張・紀州といった徳川家の親藩から将軍を出すことによって、男系で十五代続きました。これも参考になるでしょう。
今、憲法改正が提起されています。これは占領下で創られた憲法を、外国の影響を排した形で改正しようというものです。それならば皇室典範も占領下で改正されたのだから、今日、外国の影響を排して改正することが考えられます。その場合には、占領下の改正で皇族から切離された旧皇族の復活も視野に入ります。また皇室の方々がどのように考えられておられるかも是非伺いたいところです。
しかしこの議論は国民がもっと参加し、時間をかけて結論を得ることが大事と考えます。そこでマスコミに希望するのは、女帝と女系を混同している人々が多いことへの配慮です。これまでの女性の天皇、つまり女帝は全て男系です。つまり男系の女帝です。
女帝に賛成しても、それはあくまでも男系の女帝に賛成という人がかなりいると思われます。マスコミがミスリードし、女帝イコール女系と一般の国民が誤解することがないよう表現に気を付けてもらいたいところです。
以上がリサーチ会社のアンケートへの筆者の回答である。2ヶ月以上経つが、筆者の考えはこのアンケート調査への回答とほとんど変わっていない。また筆者が危惧したように、世間の認識はまだ女帝と女系の違いが正しく区別されていないと見られる。
- 改正したがっている人々
アンケートへの回答の中で、筆者が特に強調したかった点は、歴史や伝統に対する謙虚さである。筆者は決してコチコチの保守ではないが、平均的な人に比べれば保守であろう。保守の本質は歴史や伝統に対する謙虚さと考えている。
昨今の「構造改革運動」や「グローバル化」に違和感や反発を感じるのも、筆者が保守というものを尊重する立場にいるからである。技術進歩や世界の情勢の変化に対応し、たしかに社会のシステムの変化が必要ということは十分解っているつもりである。しかし何でも改革すれば良いというものではない。
むしろ今日の改革運動の実情の「いい加減さ」「胡散臭さ」が、どんどんバレて来ている今日である。日本における改革運動は、「財政破綻が必至」とか「小子化によって日本経済は危機」といった「脅し」のもとに進められている。ところがこれらの脅し文句のほとんどは大嘘である。今回の皇室典範改正の動きもこれに似たところがある。
皇室典範改正の動きには不思議なことが多過ぎる。小泉首相とその側近を除き、第一子優先といった内容を含む皇室典範の改正に賛同している者がほとんど見当たらないことである。唯一といっても良い賛同者は、静岡福祉大学の高橋とかいう怪しい教授だけである(テレビに一、二度出演している)。この人物は、有識者会議で参考人として意見を述べている。不思議なことにこの人物の意見が有識者会議の結論とほとんど一緒である。(ただし2月4日になって山崎拓氏、加藤紘一氏が改正案に賛同する意見を表面した。もっとも筆者は、昔からこの両氏のいい加減さにはあきれはてており、この両氏が何を言おうとかまわない。所詮YKKは同類である。)
有識者会議の討議内容は一切公表されていない。公表されていないから、どうしてこのような結論が出たのか全く不明である。また有識者会議のメンバーがどのような人物なのか、どのような思考傾向を持つのかも全く分らない。実に怪しいメンバー達である。
ところが朝日新聞などの大新聞はアンケート調査で、国民の大多数は有識者会議の結論に賛同しているとしている。筆者は「女帝と女系の違い」を一般の国民が理解しているとはとても思えないと懸念している。しかし朝日新聞は、アンケート調査に当っては「女帝と女系の違い」を説明していると言い張っているのである。政治家さえ十分理解しているか疑問なのに、一般の人々が解っているとはとても考えられない。ただでさえ「NHKへの政治家による番組改変圧力事件」などで、朝日新聞の信頼は地に落ちているのである。
このように怪しい政治家、怪しい有識者と学者、怪しいマスコミがこぞって皇室典範の改正を急いでいるのである。裏に何かがあると憶測が生まれるのは当然である。まず必要なことは有識者会議の実名付きの議事録の公開である。
皇室典範改正に対して、意外と反対派の活動が活発化している。しかし小泉首相は郵政改革法案の時の手法を今回も踏襲するつもりであろう。有識者会議の結論に基づく法案は、とても賛同を得られるものではない。そこでおそらくこの法案をどんどん骨抜きにして、かっこうだけの改正案に修正し、最後は自民党議員に踏絵を踏ませるという手法である。
筆者は、小泉首相には、これ以上国の根幹に触れる事柄に指一本触れてもらいたくないと思っている。全くこの人物を信頼していないからである。したがってどれだけ原案が修正されても、小泉政権下での皇室典範改正は阻止されるべきと考える。
男系男子による皇位継承は、慣習なのかあるいは伝統なのかが問題である。たまたまそのような皇位継承がなされてきたというなら、慣習ということになり、時代の変化に応じ変えることも有り得る。しかし皇位継承方法が皇室の根幹に関わる伝統ということになれば、軽々しくこれを変えるわけには行かない。
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