平成9年2月10日より
経済コラムマガジン




06/1/30(422号)
ホリエモンと政治家

  • 広島6区と福岡1区
    ライブドアの証券取引法違反に関してほぼ内容が分かってきた。検察は、確実に起訴でき公判を維持できる案件について、集中的に解明を進めている。今後、この案件がはたして縦や横に広がるかが注目される。もし広がるとすれば、インサイダー取引や関係者に対する各種の利益供与(例えば政治家が関係する企業との取引があり、その取引条件がその企業にとって有利)などというところまで行くような気がする。

    反対に今日解明されている案件だけでの起訴ということも有り得る。その場合には、粉飾決算や風説の流布による株価操作が主な罪状になる。世間でのライブドアの存在を大きくした一番の原動力は、これらによる高株価操作であった。たしかにこれまでは、ライブドアを保有しておれば株主は必ず儲かった。また儲かることでライブドア信者となった株主が株を手放さないため、さらにこれが高株価を支えていた。


    自民党は先の衆議院選挙で堀江ライブドア前社長を担ぎ出した。ここで自民党が堀江支援を行った経緯を筆者の知る範囲で整理しておく。と言ってもほとんどがマスコミで報道されている事柄ではある。まず自民党は、郵政法案反対派の無所属議員に対抗する立候補者を闇雲に探していた。郵政法案に賛成するなら誰でも良いと言った風の人選を行っていた。もちろん出馬を断った著名人や有力者も沢山いた。

    自民党がノミネートした立候補者の中にホリエモンがいた。たしか最初、福岡の山崎拓議員は、堀江社長(通称ホリエモン)を福岡1区から出馬させることを予定していた。これは彼が福岡県出身だったからである。しかしホリエモンは、福岡1区ではなく亀井静香氏のいる広島6区を強く希望した。こちらでの選挙戦の方が全国的に注目を集めるということが一つの理由である。

    しかし広島6区からの立候補の理由はこれだけではない。選挙戦に入るなり、意外にもホリエモン陣営の選挙準備体制が整っていたことに気付いた人は少ない。これは広島6区の尾道にある有力造船会社グループが、ホリエモンを強力に支援したからである。ここの経営者は、中選挙区時代、宮沢喜一氏の後援会会長をしていた。しかし小選挙区制となり、福山市が選挙区から外れると、この経営者は亀井静香氏を支援することになった。

    ところがこの経営者に極めて近い姻戚関係のある者がホリエモンと一緒に事業を行い、共著を出版するほど近い関係にあった。つまり事前にホリエモンは、広島6区から立候補すれば、この有力造船会社グループから支援を受けられる可能性があることを知っていたと想われる。一方、亀井氏にとっての有力後援者がホリエモン支持に回ったのだから、選挙戦は極めて苦戦を強いられることになった。蛇足であるが、先の選挙戦で宮沢喜一氏がどのような行動をしていたのか興味がある。

    ちなみにホリエモンが広島6区から立つことになり、福岡1区の自民党候補がいなくなった。そして公示ギリギリに決まったのが、元郵政官僚の遠藤宣彦氏であった。遠藤氏は、これまで東京から自由党の立候補者として出馬したことがあるが、福岡市とは何の縁もなく選挙区では知名度がゼロであった。ところが選挙戦では、有力な民手党の候補者に肉迫するほど善戦し、比例区復活当選となった。先の選挙戦を象徴するような立候補者であった。


  • ホリエモンの同類
    地検の捜査経過が漏れ伝わっており、人々はライブドアの経営のデタラメ振りに驚いている。正直言って筆者の想像を越えている。地検のリーク情報と思われる話が本当なら、ライブドアの経営は不透明と言うより、ライブドアの本業は「大掛かりな詐欺」と言う方が正しい。さらに会社自体が闇の世界に繋がっている印象である。

    詐欺師ホリエモンを担ぎ出し支援した自民党幹部は、小泉首相、武部幹事長、竹中総務相である。これに対して当人達は「党の公認や推薦をしていない」「当時はライブドアという会社の実態が分らなかった」と見苦しい言い訳を続けている。次はこれらのセリフを検証する。


    まず党の公認問題である。確かなことは武部幹事長は公認するつもりでいた。また武部幹事長は小泉首相のイエスマンであり、当然小泉首相にもその意向があったことは容易に想像できる。しかし世間の風評やニッポン放送買収の様子を見て、これに危惧を抱く者が自民党に多くいた。中には強行に公認に反対する者もいた。

    そこで自民党としては、公認を与えるための条件を出した。それは堀江社長が社業から身を引くことであった。おそらく彼が社長を止めると言えば、公認を出したであろう。このようなハードルを設けることが、自民党内での妥協案であった。しかしホリエモンはこの要請を断ったため、無所属での出馬となったのである。無所属での出馬と言っても勝手に立候補したのではなく、「党の公認や推薦をしていない」から関係がないという話は全く事実ではない。実際、武部幹事長、竹中総務相の応援に見られるように、他の公認候補以上のバックアップを行っている。

    さらに毎日新聞が伝えている平沼赳夫元経済産業相の1月25日、広島市内で開かれた国民新党の亀井郁夫参院議員のパーティーでの講演内容を付加えておく。平沼氏は昨年の衆院選で自民党が堀江貴文容疑者を支援したことに関し「小泉純一郎首相や武部勤幹事長は『無所属で出たのだから党は関係、責任はない』と言い続けているが、無所属のホリエモンに反対の行動(実弟の亀井静香元建設相を応援)を取ったとして郁夫氏を除名したことが、党が関与した最大の証しだ」と指摘している。


    「当時はライブドアという会社の実態が分らなかった」というセリフはふざけている。たしかに今回の地検の取調べによって、ライブドアの経営実態の詳細が明らかになりつつある。しかしライブドアがまともな会社ではないことは、以前から普通以上の人なら誰でも知っていた。

    特にニッポン放送買収騒動でのルール逸脱の行動は、ちょっと世の中の事を知っている者なら強い反感を持ったはずだ。ニッポン放送買収劇では、和解とは名ばかりでフジテレビから440億円をぶん取った。このライブドアの手法は米国で一時はやったグリーンメーラーと変わらず、ライブドアはまさに「カツアゲ」(宮内容疑者自身が漏らした言葉と伝わっている)会社と言ってよい。

    ましてや情報が集まり易い政治家達である。当然、世間の一般の人々が知っている以上の話が入っていたはずである。実際、自民党の中にも強烈な拒絶反応があり、このために党の公認のハードルを上げたのである。何を今頃「ライブドアの経営内容を知らなかった」と白を切るのであろう。ましてや竹中氏は、証券行政を司る金融庁の担当大臣であった。


    自民党の中でもホリエモンへの肩入れが際立ったのは小泉首相、武部幹事長、竹中総務相である。むしろこの三人が何故ホリエモンに入れ込んだのかを問題にしたい。たしかに筆者は、この3名とホリエモンには同じ臭いを感じる。本来なら彼等は首相、幹事長、有力閣僚には絶対になれなかったメンバーである。出世した手法もホリエモンと似ている。支離滅裂な言い訳を行って周囲をケムに巻く所も似ている。つまりこの3名はホリエモンと同類であり、ホリエモンに違和感がなかったのである。違和感がないのだから警戒感を持つはずがなかったと考える。

    冒頭で述べたように、検察の捜査がどこまで伸びるのか不明である。筆者ははたして政治家とライブドアとの関係まで検察の捜査が伸びるか注目している。たしかにそれらしき話も出ており、場合によっては政変である。



来週のテーマはライブドア騒動の進展によって決めたい。ライブドアを取上げない場合は、皇室典範改正を取上げる。

速やかにライブドアの経営陣が替わった。しかしその手際よさに違和感を感じる。おそらく堀江前社長の逮捕の前に決めたスキーム通り進んでいると思われる。それにしても奇妙なことばかりである。以前のテレビ番組で見た限り、新社長となる弥生会計の平松氏は熱心な堀江信奉者のはずだ。その人物が堀江前社長の経営手法を非難しているのだから訳が分らない。また当然逮捕されると思われた熊谷氏が代表取締役に就任した。ライブドア役員の逮捕劇を見てオウムと似てきたという意見がある。筆者もこれに基本的に同感であるが、もっと言えばライブドア事件は、オウム事件とリクルート事件を合わせたようなものに見える。

平松、熊谷両氏は「堀江社長の復帰は有り得ない」と発言しているが、何を根拠にしているのであろうか。たしかに商法の規定で禁固刑以上の者が取締役になれないというのなら解るが、未来永劫なれないということではないはずである。ましてや堀江氏は、筆頭株主であり、今でも実質的なライブドアのオーナである。

何らかの形でライブドアが再建されれば、一番ハッピーなのは大株主のホリエモンである。もし本当に堀江氏の影響を削ぐのなら、ライブドアは大幅な減資を行い、その後支援企業に第三者割当増資を行い、堀江氏の持株比率を大幅に下げるという方法がある。もし本当に堀江氏がこのような手続に同意するなら、「堀江社長の復帰は有り得ない」という話も真実味を帯びてくる。

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