- 「野村証券の総会屋に対する利益供与事件」は各方面に色々な波紋を及ぼしている。この経緯については、よく知られている。そこで本誌は、この件であまり注目されていない所に着目したい。
それは野村証券が、この総会屋の資金の運用で、大きな失敗をしていることである。この総会屋は野村証券にとってVIP中のVIPのはずである。それでこのありさまである。普通のVIPの場合には、どれくらいの損でおさまっているのであろうか。一般の顧客が証券会社のアドバイスを受け投資し、損をすることがあるのも不思議ではない。最近の外債投資が良い例である。ただ証券会社が、顧客にわざと損をさせようとしているとは考えたくはない。 なにも運用の失敗は証券会社だけではないと考えられる。かなりの機関投資家と言われている人々が運用で損を抱えているのではないだろうか。実際のところ損が大きくならないと表面化せず、実態はよくわからないのである。最近破綻した生保も運用で失敗している。しかし、損している人間がいるなら、反対に大儲けしている者もいるはずである。欧米の投資家のパフォ-マンスは高いとよく聞く。ひょっとしたら日本の機関投資家は「国際的なカモ」になっているのではないか。ときには、欧米が日本に金融の自由化を求めてくる理由が、こんなところにあるのではないかと邪推したくなる。ビックバンで儲かる金融商品が増えると言う話も怪しい。 筆者は、最近、日本人が「相場」とか「ゼロサムゲ-ム」に向いていないように感じられる。情報と言うものに皆同じような反応を起こし、同じ行動をとろうとすることがその原因の一つである。つまり日本人の思考パタ-ンが読まれやすいのである。時には情報も操作されているように思われることさえある。日本のファンドマネ-ジャ- や運用担当者の雇用形態もこの種の仕事には向いていないような気がする。つまりサラリ-マンにとってこの種の業務は難しいのである。 それならば、いっそうのことリスクのある運用を全てやめるのも一つの判断である。それが本当に行われた場合、ショックを受けるのは欧米の投資家だけであろう。
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