平成9年2月10日より
経済コラムマガジン

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00/4/10(第158号)
eコマースの将来性(その1)
  • 森政権の誕生
    今週号は予定を少し変更し、まず政局の話から始める。

    小渕内閣が総辞職し、森政権が発足した。小渕内閣の経済政策は、概ね本誌も賛成できるものであった。それだけに小渕首相の退陣は残念である。一方、森政権の経済政策を現時点で占うことは難しい。ただ筆者の理解では、森氏は本来「積極財政論者」であり、小渕政権の政策決定の中心にいたことから、小渕政権の財政政策をほぼ継承するものと考えられる。ただし森首相のブレーンと思われる人々の中にはちょっと気にかかる人物が何人かいる。

    金融不安の沈静化と景気動向の良化などにより、経済が多少持直したためか、財政支出による経済対策にはアゲンストの風が吹き始めている。このためか、小渕政権の終盤の経済対策は中途半端なものになってしまっていた。
    失業者は今後も増えるはずである。はたして森政権が適切で大胆な政策を行えるかが注目される。


    自由党はとうとう分裂してしまった。形の上では保守党が自由党から分離したように見えるが、実質的には、小沢一郎氏とその熱烈な信奉者が追い出されたかっこうになっている。次の選挙後に自由党はほとんど消滅してしまうと思われる。

    このような状況は以前から予想されたことである。本誌98/12/7(第93号)「自自連立政権を考える」では、自由党の実権が小沢氏から野田幹事長(当時)を中心とした数名のメンバーに移っていることを述べた。1年4ケ月も前のことである。しかしそれ以降も、小沢氏は実権がないのに自由党の顔としてパフォーマンスを続けて来たのである。今回の分裂劇は、はしなくも実態が露呈したのである。

    今回の分裂劇を「選挙目当ての分派行動」と解説する評論家が多いが、極めて皮相な見方である。もともと自由党は観念先行の政党である。経済政策では「小さな政府」が理想であった。しかし最近の日本経済は、金融機関への大規模な公的資金の投入や政府の信用保証、そして財政支出の増大で支えられているのが現状である。また自由党が強く主張していた「減税」がほとんど効果を生んでいない。このような現実を見て、自由党のメンバーは日本において、「小さな政府」が経済政策としていかに幻想であると言うことを思い知らされたのである。つまり「小さな政府」論の完璧な敗北である。

    そして「小さな政府」論が幻想なら、なにも自民党から出て行く必要はなかったのである。日本では、経済学者やエコノミストはどれだけ間違ったことを言い続けても、失業はしない。しかし政治家は違う。選挙が待っているのである。
    自由党が連立政権に参加して興味深かったのは、本来「小さな政府」論者であったはずの自由党のメンバーの方が積極財政を強く主張していたことである。むしろ加藤紘一氏のような自民党の政治家の方が「供給サイドの経済」と突然言い始め、財政支出の増大に反対していたのである。

    今日、はっきりと「小さな政府」を主張しているのは、民主党と加藤紘一氏のような自民党の一部、そして自由党の残留組だけである。保守党は「小さな政府」の旗を降ろさないかもしれないが、実際の政治行動はもっと現実的なはずである。


  • インターネットの利用状況
    eコマースの話に進む前に日本でのインターネットの利用状況について述べたい。ネットの利用状況について、筆者は正確なデータを持っている訳ではない。したがってこれについては、色々な数値を元に予想する他はない。
    もっともこの種の正確なデータを持っているものは誰もいないと考える。たしかにネットを使える環境にいる人数は、わりと正確に把握されていると思われる。しかしネットを使える環境にいる人間が、必ずしもネットを利用しているとは限らない。つまりネットの利用状況を正確に知ることは難しい。

    感想で申し訳ないが、筆者には、iモードの利用者を除けば、最近の日本のインターネットの利用者数、あるいは閲覧者数の伸びはかなり鈍化していると思われる。マイナスとは言わないが、横這いと言う状況も有りうると感じている。とにかく筆者は、現実と世間で言われているバラ色の「ネット革命」とか「ネット新時代」と言うものとのギャップを感じている。

    インターネットの登場以来、使える環境にいる人数は間違いなく増え続けている。現在も確実に増え続けている。
    一方、利用者の増加数については過去2回のブームがあった。96年と98年後半から99年にかけてである。前者はウィンドウズ95、後者はウィンドウズ98の発売後である。これらのブームの期間中にネットの利用者は大幅に増加した。しかし使える環境にいる人数が増えているにもかかわらず、96年のブームの後は利用者の数は伸び悩んだ。一部には、一時的に減ったと言う情報もあった。

    96年のブームの時には、インターネットで情報を発信したい者には「技術」がなく、一方ホームページを作る技術を持つ者には「発信する物」がなかった。したがって当時のホームページの内容は非常につまらなく、一時的にインターネットは飽きられたのである。しかしそれ以降、ホームページの質は急速に向上し、98年後半からのブームで再び大幅に利用者の数は伸び、今日に到っている。

    今後、当分はインターネットの利用者数の伸びは鈍化すると思われる。次に利用者数が増えとすれば、それは第3次ブームと言うことになる。何がきっかけで次のブームが来るかはっきりとは言えないが、これまでと同様に新しいOSの登場に伴ってブームが起る可能性はある。この他に考えられるのは、コンテンツの飛躍的な向上や画期的なコンテンツの登場であるが、これらについては現時点ではちょっと予測することが困難である。しかし第3次ブームが起るとしても、これまでのような利用者数の急速な伸びは期待できないと筆者は考える。ポテンシャルのある者は既に、過去の2回のブームでインターネットの利用を始めていると考えられるからである。
    もっとも携帯端末によるネットの利用者数は当分伸びると思われる。ただし携帯端末によるインターネットの利用とeコマースの関係がよく分からない。しかし筆者は、この分野のマーケットは当分それほど大きいものになるとは考えていない。

    いずれにしてもeコマースの将来性を予測するには、インターネットを使える環境にいる人数ではなく、実際の利用者数の伸びを問題にすべきである。今日、さかんにeコマースの将来性をバラ色に語る識者が多い。しかしネットの利用者数の伸びを考慮すれば、日本におけるeコマースの経済的規模は、言われているほど大きなものにはならないと筆者は考える。

    ある経済学者がテレビに登場し、「日本は通信費が高く、インターネットの利用が進まない」と言っている。しかし筆者はこれは事実と違うと考えている。またこの学者は、日本のインターネットの利用料は米国の5倍と言っているが、これも違うと思われる。よほど特殊なケースを比較した場合を除けば、5倍もの差があるはずがない。日本において、米国ほどインターネットの利用が進まないのは、以前から本誌で述べているように、日本での社会生活には、米国ほどインターネットが必要ないからである。

    日本は通信費が高いと言われている。またNTTの接続料が国際的な問題になっている。たしかに日本は通信費は安くはない。しかしこれには為替レートが関係してくる。もし対ドルの円レートが150円くらいなら、日本の通信費や接続料はそれほど高いものにはならない。つまり円高が進むほどNTTの接続料の高さが目立つのである。

    ソニーやトヨタ、そして本田が努力して輸出を増やせば、いずれ円高が進むことにる。以前から本誌で主張しているように、NTTのような純粋な国内向け企業も、競争は国内の企業だけに止まらず、円レートの変動を通じ、これらの有力企業と競争していることになる。NTTがどれだけ合理化を進めても、ソニーやトヨタ、そして本田がそれ以上の努力をすれば、一段と円高が進み、国際的にNTTの通信費は相対的に高くなる。つまり「接続料の引下げ」問題で、実質的にNTTは、これらの有力企業と競争すると言う極めて厳しい立場に置かれているのである。



来週号は、引続き日本におけるeコマースの将来性について話を進める。

4月9日のテレビ朝日系「サンデープロジェクト」に大手証券会社のアナリスト部門の責任者が登場し、「最近暴落を続けていたネット関連の株価もそろそろ下げ止まるであろう」と言う見通しを述べていた。
そもそも今回のこれらの株価の暴落がスタートするちょっと前に、この人物を含め、大手証券会社三社のアナリスト部門の責任者がこの番組に登場し、株価の見通しについて述べていた。その時にはこの人物ともう一人のアナリストが6月からの株価の下落を予想していた。当時のネット株価は異常であり、6月頃から選別が厳しくなり、実態のないネット関連株が下落すると言うのが根拠であった。そして6月はナスダックジャパンがスタートする。筆者もなんとなく納得していた。しかし予想より3ケ月も前に暴落が始まったのである。
残りの一社のアナリストはこれらとは違う見通しを行っていた。この証券会社は、株価が暴落して色々話題になっている会社の幹事証券会社である。
いずれにしても筆者は、この番組の株式市場に与える影響に注目している。月曜日からのこれらのネット株の動きに注目したい。


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00/4/3(第157号)「「日銀による国債の引受」政策」
00/3/27(第156号)「インフレとデフレの功罪(その2)」
00/3/20(第155号)「インフレとデフレの功罪(その1)」
00/3/13(第154号)「国債の日銀引受に関わる諸問題」
00/3/6(第153号)「資金供給の増大とインフレ」
00/2/28(第152号)「澱んだ資金の経済への影響」
00/2/21(第151号)「もう一つの累積債務の解決方」
00/2/14(第150号)「政府の累積債務に関わる問題」
00/2/7(第149号)「ペイオフ延期騒動と日経新聞」
00/1/31(第148号)「「ペイオフ強行派」への反論」
00/1/24(第147号)「「ペイオフ解禁」の延期」
00/1/17(第146号)「有力エコノミストの対談」
00/1/10(第145号)「新年度の経済を見通す」
99/12/20(第144号)「為替の話あれこれ(その1)」
99/12/13(第143号)「中堅以下の企業のリストラ」
99/12/6(第142号)「大企業のリストラ」
99/11/29(第141号)「商工ローンと日本人」
99/11/22(第140号)「あやしい常識」
99/11/15(第139号)「金融のさらなる量的緩和」
99/11/8(第138号)「為替変動と日銀」
99/11/1(第137号)「ニセ札とインフレ」
99/10/25(第136号)「もう一つの実質金利の実体」
99/10/18(第135号)「もう一つの実質金利」
99/10/11(第134号)「もう一つの調整インフレ」
99/10/4(第133号)「日銀の独立性(その2)」
99/9/27(第132号)「日銀の独立性(その1)」
99/9/20(第131号)「社会的欲求と日本経済」
99/9/13(第130号)「欲求と日本経済成長の関係」
99/9/6(第129号)「日本経済と欲求の限界(その2)」
99/8/30(第128号)「日本経済と欲求の限界(その1)」
99/8/9(第127号)「エコノミストの格付け(その3)」
99/8/2(第126号)「エコノミストの格付け(その2)」
99/7/26(第125号)「エコノミストの格付け(その1)」
99/7/19(第124号)「規制緩和と通産省」
99/7/12(第123号)「供給サイドの経済学」
99/7/5(第122号)「インターネットと日本経済(その2)」
99/6/28(第121号)「インターネットと日本経済(その1)」
99/6/21(第120号)「銀行員とリスク(その2)」
99/6/14(第119号)「銀行員とリスク(その1)」
99/6/7(第118号)「銀行のバブル期の行動」
99/5/31(第117号)「日本の銀行とリスク」
99/5/24(第116号)「需給ギャップと景気回復」
99/5/17(第115号)「経済の構造改革」
99/5/10(第114号)「サマータイムと日本人」
99/5/3(第113号)「地価動向と景気回復」
99/4/26(第112号)「お金持ちとリスク」
99/4/19(第111号)「日本のお金持ち」
99/4/12(第110号)「寡占と所得の分配」
99/4/5(第109号)「寡占市場の話」
99/3/29(第108号)「完全競争市場の話」
99/3/22(第107号)「独占市場の話」
99/3/15(第106号)「本誌の経済予想とその間違い」
99/3/8(第105号)「景気の現状(99年春)」
99/3/1(第104号)「立派な社会と景気回復」
99/2/22(第103号)「現代の日本経済と投資」
99/2/15(第102号)「需給ギャップと投資」
99/2/8(第101号)「99年度の経済を見通す」
99/2/1(第100号)「公共投資の将来を考える」
99/1/25(第99号)「今後の景気対策を考える(その2)」
99/1/18(第98号)「景気の見通しを考える」
99/1/11(第97号)「今後の景気対策を考える(その1)」
98/12/28(第96号)「不況の原因と消費税減税を考える」
98/12/21(第95号)「米国経済の光と影を考えるーーその2」
98/12/14(第94号)「米国経済の光と影を考えるーーその1」
98/12/7(第93号)「自自連立政権を考える」
98/11/30(第92号)「公共投資と経済を考えるーーその2」
98/11/23(第91号)「緊急経済対策を考える」
98/11/16(第90号)「公共投資と経済を考えるーーその1」
98/11/9(第89号)「「空気」を考えるーーその2」
98/11/2(第88号)「「空気」を考えるーーその1」
98/10/26(第87号)「景気対策論議を考える」
98/10/19(第86号)「為替レートの今後のトレンドを考える」
98/10/12(第85号)「経済の「あいまいさ」を考えるーーその3」
98/10/5(第84号)「経済の「あいまいさ」を考えるーーその2」
98/9/28(第83号)「経済の「あいまいさ」を考えるーーその1」
98/9/21(第82号)「為替レートのトレンドを考える」
98/9/14(第81号)「バブルの清算と公金投入を考える」
98/9/7(第80号)「公金投入の整合性を考える」
98/8/31(第79号)「政治と経済の混乱を考える」
98/8/10(第78号)「今回の不況の原因を考える」
98/8/3(第77号)「新政権の人事を考える」
98/7/27(第76号)「小淵新自民党総裁誕生を考える」
98/7/20(第75号)「橋本総理退陣を考える」
98/7/13(第74号)「マスコミの驕りを考えるーーその2」
98/7/6(第73号)「マスコミの驕りを考えるーーその1」
98/6/29(第72号)「参院選と経済を考える」
98/6/22(第71号)「為替介入の背景を考える」
98/6/15(第70号)「橋本総理と円安を考える」
98/6/8(第69号)「日本の金融を考える」
98/6/1(第68号)「経済への関心を考える」
98/5/25(第67号)「世論と経済政策を考えるーーその2」
98/5/18(第66号)「世論と経済政策を考えるーーその1」
98/5/11(第65号)「アンケートと経済政策を考える」
98/5/4(第64号)「今回の景気対策を考える」
98/4/27(第63号)「消費の限界を考えるーーその2」
98/4/20(第62号)「消費の限界を考えるーーその1」
98/4/13(第61号)「恒久減税を考える」
98/4/6(第60号)「今回の自民党の景気対策を考える」
98/3/30(第59号)「米国の対日経済要求を考える」
98/3/23(第58号)「新日銀総裁の就任を考える」
98/3/16(第57号)「今回の不況の深刻さを考える」
98/3/9(第56号)「日米の景気対策を考える」
98/3/2(第55号)「日経新聞と経済を考えるーーその2」
98/2/23(第54号)「日経新聞と経済を考えるーーその1」
98/2/16(第53号)「貸し渋りと景気を考える」
98/2/9(第52号)「政治と経済を考える」
98/2/2(第51号)「官僚と経済を考える」
98/1/26(第50号)「「小さな政府」を考えるーーその3」
98/1/19(第49号)「「小さな政府」を考えるーーその2」
98/1/12(第48号)「「小さな政府」を考えるーーその1」
97/12/22(第47号)「需要不足の日本経済を考える」
97/12/15(第46号)「景気の現状と対策を考えるーーその8」
97/12/8(第45号)「景気の現状と対策を考えるーーその7」
97/12/1(第44号)「京都会議と経済を考える」
97/11/24(第43号)「景気の現状と対策を考えるーーその6」
97/11/17(第42号)「景気の現状と対策を考えるーーその5」
97/11/10(第41号)「景気の現状と対策を考えるーーその4」
97/11/3(第40号)「景気の現状と対策を考えるーーその3」
97/10/27(第39号)「景気の現状と対策を考えるーーその2」
97/10/20(第38号)「景気の現状と対策を考えるーーその1」
97/10/13(第37号)「市場の心理を考える」
97/10/6(第36号)「公共事業とマスコミを考える」
97/9/29(第35号)「リクルート事件と経済を考える」
97/9/22(第34号)「ロッキード事件と経済を考える」
97/9/15(第33号)「住宅と貯蓄を考える(その2)」
97/9/8(第32号)「住宅と貯蓄を考える(その1)」
97/9/1(第31号)「労働組合と経済を考える」
97/8/25(第30号)「競争時代の賃金を考える」
97/8/18(第29号)「米国経済の生産性の向上を考える」
97/8/11(第28号)「米国の景気を考える(その2)」
97/8/4(第27号)「米国の景気を考える(その1)」
97/7/28(第26号)「内需拡大と整備新幹線を考える(その2)」
97/7/21(第25号)「内需拡大と整備新幹線を考える(その1)」
97/7/14(第24号)「香港返還と中国経済を考える(その2)」
97/7/7(第23号)「香港返還と中国経済を考える(その1)」
97/6/30(第22号)「日本の米国債保有を考える」
97/6/23(第21号)「投機と市場を考える」
97/6/16(第20号)「規制緩和と日米関係を考える」
97/6/9(第19号)「ビックバンと為替を考える」
97/6/2(第18号)「内需拡大と公共工事を考える(その2)」
97/5/26(第17号)「内需拡大と公共工事を考える(その1)」
97/5/19(第16号)「金利と為替を考える」
97/5/12(第15号)「規制緩和と景気を考える」
97/5/5(第14号)「為替の変動を考える」
97/4/28(第13号)「日本の物価と金利を考える(その2)」
97/4/21(第12号)「日本の物価と金利を考える(その1)」
97/4/14(第11号)「日本の土地価格を考える」
97/4/7(第10号)「当マガジン経済予測のレビュー」
97/3/31(第9号)「日本の株式を考える」
97/3/24(第8号)「たまごっちと携帯電話を考える」
97/3/17(第7号)「政府の景気対策を考える」
97/3/10(第6号)「オリンピックと景気を考える」
97/3/3(第5号)「為替レートの動向を考える(その2)」
97/2/24(第4号)「為替レートの動向を考える(その1)」
97/2/17(第3号)「日本の金利水準と為替レートを考える」
97/2/10(第2号)「国と地方の長期債務残高を考える」
97/2/1(第1号)「株価下落の原因を考える」「今後の景気動向を考える」

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