- 寡占の種類
市場を一社の企業が占有している状態が独占であるが、現実には純粋な独占はあまりないケースである。しかし少数の企業で市場をほぼ独占している、つまり寡占の状態はよくある。また有力な数社の大企業の周りに多数の小規模の企業が存在する場合も、実質的には寡占と呼ぶことができる。このような場合には周りの多数の小規模の企業同士は完全競争に近い状態にあり、競争的周辺部分と称されることもある。 寡占市場は独占市場と違い、企業同士の競争は行われる。また、市場の置かれている状況により、競争の度合いも異なってくる。例えばターゲットとなるライバル企業と言うものがはっきりしている場合は、競争が熾烈を極めることもある。このような競争的な寡占市場がある一方、上位企業が協調的な場合もある。この場合には、これらの企業は事実上独占市場を形成することになる。 寡占を生産物や取り扱う製品や商品の形態で分類することがある。一つが「製品差別型寡占」であり、もう一つが「資本集中型寡占」である。前者はほとんどの消費財やサービス、さらに小売業などが該当する。このような業界では製品の差別化が参入障壁として使われる。競争の上では自社の製品と他社の製品の違いが強調される。各社とも差別化のため多大の宣伝広告費を継続的に使い、この蓄積が参入障壁を形成することになる。通常、この寡占市場では価格競争は活発には行われない。例えばデパートにおいては同じブランドの商品を同じ価格で販売しているケースがよくある。一方、デパートは自分達の店鋪全体のイメージアップに経費を使い、このような方面での競争が激しい。 一方、資本集中型寡占は、鉄鋼や石油化学などの素材産業によく見られる寡占の形態である。生産物には各社でそれほど差違がないことが特徴である。資本集中型寡占では「規模の経済性」が大きく働く。つまり一般的に規模が大きいプラントを持つ企業ほど、単位当たりのコストが小さく、価格競争上優位に立つ。またこの規模の経済性が大きくなるほど、小資本にとって不利となり、市場の参入は困難となる。つまり生産物の種類によって、寡占の市場での競争形態が決定されることになる。また市場に存在できる企業の数も、その市場の規模によって大体決まってくる。また資本集中型の寡占下では、低コスト維持のための稼働率確保が重要となり、どうしても過剰生産による価格競争に落ち入りやすい。 上記で寡占の二つの形態について簡単に説明したが、総ての産業がどちらかに振り分けられると言う訳ではなく、両者の中間と言う存在も多い。自動車などはこの例であろう。たしかに規模の経済性は大きいが、他社との競争は価格だけでなく、製品の差別化の方面でも行われる。逆に、差別的競争を行っていると考えられる小売業でも、チエーン展開を行っているコンビニなどは規模の経済性が働き、資本集中型寡占の要素も兼ね備えている。 このようにどの業界も両方の寡占の形態を持ち合わせている。どちらの色彩が強いかと言うことである。そして資本集中型寡占に近い場合には価格競争に成りやすく、製品差別型寡占に近いほど広告などによる差別化の競争が激しくなる傾向が強い。
- 寡占下の競争
一口に寡占と言っても、極めて企業の数が少なく独占に近い場合と、有力な企業がなくほぼ完全競争に近いケースがある。もちろんより独占に近い方が価格は高く維持され、利益も大きくなる。 寡占下においては、市場の成長の度合いによっても競争状態が変わってくる。市場の成長率が大きくなるほど競争は激しくなる。市場が成長すると言うことは、そこに供給の空白が生じることになる。この空白を自分が埋めない場合には、ライバル企業や他からの参入者が埋めると言う事態になると互いに想定する。したがってこの空白をめぐり、自然と競争が激しくなるのである。特に規模の経済性が大きい場合には、企業間の競争は一段と激しくなる。 反対に成熟し、ほとんど成長のない市場では、協調的な寡占となる。この一つの説明は、このような市場での競争激化が既存の企業の退出の原因となり、市場に空白が生じ、この空白をめぐる競争が発生したり、新たなる参入を招くおそれが生じることである。特に新たなる参入者が協調的でない場合には、競争の発生と言うリスクに直面する。したがってこのような業界では、あえて相手のテリトリーを侵してまで競争を仕掛けると言う雰囲気はなくなるのである。 これまで述べて来たことを総合すると、販売する製品や商品に差違がなく、企業数が限られており、成長性のない市場ではより協調的な寡占となる。そしてこのような要素を多く持つ業界ではしばしば闇カルテルが結ばれ、独禁法上で問題になるケースが多い。これも市場の構造から来ているのである。昔からこのような業界にはよく「ミスターカルテル」と呼ばれる人物がいるものである。しかし協調はこのような業界にとっては合理的な行為なのである。 しかし、このような業界でも、業界の秩序に従わないアウトサイダーがいるケースがある。この場合にはアウトサイダーをめぐり激しい競争が行われることになる。特に製品に差違がなく同質の場合には、価格競争がとことん限界を越えて行われることもある。 ところで長く協調的な寡占下にあった企業は競争力がなくなってしまっているケースがある。このような業界が国際化の進展で海外の企業との競争にさらされると、たちどころに敗れてしまうのである。日本においてもこれに近い業界は容易に思いつく。
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