平成9年2月10日より
経済コラムマガジン


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97/4/7(第10号)
当マガジン経済予測のレビュ-
  • 4月4日ル-ビン財務長官が急遽来日した。対日要求と打ち合わせ事項は詳しく報道されていないのことがかえって気になる。対日要求も先週号で述べたようなものであろうが、これだけなら電話で済む内容である。最近の「日本経済の現状」に対する日米政府の認識に大きな違いがある。日本政府の「極めて悲観的な見方」に対して、来日する米国要人が全て「日本の経済はうまく行っている」と楽観的であり(一見良く見える米国経済の方が大変との考えているかもしれない)、日本政府の政府の政策を懐疑的に見ている。たぶん彼等の見方の方が正しいであろう。
    むしろ今回の訪問は、どうしてこんなに認識に差があるのか、その原因をさぐることが第一の目的かもしれない。ひょっとしたら「日本の総理の性格や考え方」に興味が引かれているのかもしれない。


  • 日本の銀行の不良債権問題については「五月危機」と言うものをささやかれているが、筆者は米国についても五月が注目される。2、5、8、11月には「米国の国債の入札」がある。つまり来月5月の入札が注目されるのである。財務長官の来日がこれと関係があるのか分からないが。

  • 米国の株式の動向に大きな動きがある場合には、「緊急版」を発行する予定である。

  • 当マガジン もスタ-トしてからはや2ケ月以上が過ぎ、その間、色々と経済の予測を行ってきた。ここらで、これまで当マガジン が、実際の経済の動向をどこまで正しく予想し得たか検証してみることが大切と考える。
    筆者は、幸いにも今までのところ、予想がほぼ当っていると見るが、いかがであろうか。ではとりあえず、第1号から第6号までを検証してみよう。

  • 2/1(第1号)「株価下落の原因を考える」
    1月の株価の下落については、「政府の予算案が緊縮型である」「銀行など不良資産問題に進展が見られない株にカラ売り攻勢があった」と言う本誌の論調に修正は必要ないであろう。一部「整備新幹線に代表される公共支出が盛り込まれており、財政再建が遅れることへの失望があり、外人投資家の資金が海外に逃げた」と言うデマに近い話があったが、どうも発信元の一つは「いつも予想が当らない財政学者((第8号)を参照)」らしい。資金の海外流出は、国内にめぼしい投資機会のない投資家に対して証券会社が「外債購入」をずっと奨めているからである。つまり「円安」は証券会社の営業努力の成果である。

  • 2/1(第1号)「今後の景気動向を考える」
    だいたいの要旨は次の通りである。
    1. 金利は既に相当低く、金利政策が有効にきかない
    2. 円の対ドルレ-トが120円なら輸出企業にとってフォロ-の風である
    3. 緊縮型の本年の予算では内需は期待できない
    4. したがって外需頼りの景気回復しか考えられないが、この結果、各国との摩擦は避け難い
    これらについても、修正は必要ない。特に4番目については重要である。一部マスコミが言うように「日本について、過去のバッシングからパッシングになり、現在はナッシング」が本当なら、なぜ今ごろ米国の財務長官が日本にやって来るのであろうか。たしかに米国の対中国赤字が大きくなっており、日本への注目度は若干下がっているかもしれないが、それは「日本の経常収支が着実に減って来ていること」「内需拡大政策で合意していること」「公共投資基本計画で630兆円の公共投資を10年で行うと言う国際公約がある」と言うこと前提である。これらが反故にされそうなら話は別である。

  • 2/10(第2号)「国と地方の長期債務残高を考える」
    これについても、特に修正は必要ない。長期金利が史上最低を更新中と言うのも象徴的である。

  • 2/17(第3号)「日本の金利水準と為替レ-トを考える」
    「世界的にみれば、日本の金利はけっして低くはない」ということを言いたかったのである。一見これは、「長期金利が史上最低」と言う話と矛盾しているように聞こえるが、筆者のここで言う金利とは「実質金利」のことである。つまり日本の物価上昇が小さいため、実質金利は結構高いのである。さらに一言付け加えるなら、ここ数年の土地の下落を考えるなら、投資家にとっての金利は相当高く感じるはずである。また、「機関投資家の資金運用の目標収益がちょつと高すぎるのではないか」と言う指摘も併せて行っている。このためか、外債投資に魅力を感じるのかもしれないが、為替のリスクを考慮すべきである。
    いずれにしても、これらについては、後日「日本の物価を考える」と言うテ-マで詳しく述べたい。

  • 2/24(第4号)「為替レ-トの動向を考える(その1)」
    この号では、「国際間の資金の移動に金利が深く係わっている」つまり「資金は金利の低い国から高い国へ流れる」と言う常識が間違っていることを指摘した。通常この場合の金利差とは「名目金利」で語られる。たしかにこれが、「実質金利」であれば、当っているかもしれないが、実質金利は世界的にみて各国でそんなに差がないものである。つまり物価上昇の激しい国はそれだけ金利も高いものである。金利で稼いでも、平価が切り下げになるから、差引利益はどの国で運用してもそんなに変わらないはずだ。高金利の国の為替が変わらないか、逆に高くなると言う保証があるなら話は別であるが。それでも「高金利の米国へ低金利の日本から資金が流れるのが自然」と主張する方々には、世界には米国より、ずっと金利の高い国があるが、なぜその国に資金が流れないのか是非説明してもらいたいものだ。「金利が高い国で資金を運用すれば儲かる」と言った単純なことだったら、誰も苦労はしない。つまりこれは「証券会社の外債投資を奨める営業マンのセ-ルスト-ク」である。

  • 3/3(第5号)「為替レ-トの動向を考える(その2)」
    だいたいの要旨は次の通りである。
    1. 数年来日本の卸物価指数は米国のそれより低く、いつ「円高・ドル安傾向」になっても不思議はない。それを阻害している要因は主に日本からの資本流出(米国債の購入などによる)である。
    2. 円高へのプロセスには2通り考えられる。一つにはなし崩し的に円高に移行するプロセス。今一つが、膠着状態がある程度続き、それを見て高金利の米国に資金が一旦流れ、その結果円安となり、そこで中央銀行・政府の円買い介入となり、しばらく後に円高傾向に移行すると言うシナリオである。過去の転換(円安・円高とも)は全て後者であった。
    3. 次の円高は「円の独歩高」の可能性が高い。
    4. 経済の実態からは円高になっても不思議はないが、日・米政府ともはっきり決断できない状態である。
    5. いずれにしても、中央銀行の動向が注目される。
    以上について、特に大きく修正は必要ない。ただ次の円高が「円の独歩高」と言うのはちょっと言い過ぎだったかもしれない。しかしヨ-ロッパの「通貨統合」のもたつき具合によっては、「円の独歩高」もありうると考える。それにしても、日米政府、両者の経済に対する認識に共通部分がまったくないようだ。米国も日本政府と話をしていても、まるで宇宙人と話をしているように感じるのではないだろうか。

  • 3/10(第6号)「オリンピックと景気を考える」
    だいたいの要旨は次の通りである。
    1. 「歴史的に見て、オリンピックを開催した国の翌年の景気は悪い。米国は去年オリンピックを開催している。したがって今年の米国の景気は悪くなる。」と多少強引な三段論法で米国の景気を占ってみた。オリンピックの年はオリンピックの特需と米国の大統領選挙で内外の需要に支えられ、景気が良くなるのではないか。翌年はその反動で景気が低迷すると言うことが筆者の意見である。そのオリンピックが米国で開催されたのであるから、今年の米国の景気は悪くなると言うのが筆者の予想である。
    2. 現在の米国の景気を支えているものは、たしかにハイテクなどの実体のあるものもあるが、株高になどによる「資産効果」と言うものがかなり幅をきかしているのではないか。資金の流入が続くうちは 良いが、一旦逆の流れとなれば、このことが反対に「逆資産効果」となり、景気の後退につながる。こうなれば「オリンピックの翌年は景気が悪い」と言うジンクスが、筆者の予想通り当ることになる。そしてそのカギを握っているのは「円の為替動向」である。
    3. 米国の株式高騰は実体とかけ離れており、いつ下落してもおかしくない
    今日までにニュ-ヨ-クダウは8%位下落している。筆者の言う下落とはこの程度のものではないし、日本への資金の還流を伴う(その結果円高となる)ものでプロセスも違う(資金はMMFや一部中南米に流れているらしい)。円高については政治的な判断も必要で、この流れになるにはまだ時間が必要かもしれない。
    では筆者が想定している適当なダウを言えば、3,000~3,500ドルである。これは低いと思われるかもしれないが、歴史的に見ればこれでも高いのである。これに対する根拠を示すと「企業の収益率と言うものはそんなに高くなるものではない」からである。一時的にある企業が高収益を上げても、そこに参入してくる企業があるから、そこで競争が起こり、収益が落ちるはずである。まったくの独占的な企業と言うことなかなか難しい。いや、米国のハイテク企業はすばらしく、世界の市場を支配していると反論される向きもあろうが、筆者は「市場を支配」についてはよくわからないが、とにかくこれらのハイテク企業の多くはナスダックに登録されており(もっともこちらも現在下落しているが)、ダウ平均銘柄にあまり採用されていない。
    今回の下落に対してウォ-ル街の有名ストラテジスト(投資顧問みたいなものか)は「今の下落は一時的なもので97年の企業業績は10%の高い伸びを達成する。心配は無用。」と言っている。この有名ストラテジストは一時急落した昨年七月にも強気見通しを貫き的中させ、投資家の信頼を得たらしい。しかし、昨年の七月と言えばオリンピック が行われた月であり、そんな時に「株式相場が暴落することは米国にとってもカッコウが悪い」わけであり、また「大統領選挙前に暴落することもこまること」であり、株式相場の回復を予想することは、そんなに困難なことではなかったかもしれない。問題は祭(オリンピック と大統領選挙)の後である。
    先週号で述べたように日本のバブル期の株高は土地の高騰を反映したもので、動きとしては正常なものであった。株高が異常であったのではなく、土地の高騰が異常だったのである。一方米国の株高は実体のないものである。今後収益が何%伸びるからもっと株は高くなるといわれるが、その収益増が既に何回もカウントされている結果が現在の株価である。
    FRB議長が株高に懸念を何回か示しているが(大統領選挙が終わった頃から)、こうゆうことは極めて異例であると最後に付け加えたい。



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97/3/31(第9号)「日本の株式を考える」
97/3/24(第8号)「たまごっちと携帯電話を考える」
97/3/17(第7号)「政府の景気対策を考える」
97/3/10(第6号)「オリンピックと景気を考える」
97/3/3(第5号)「為替レ-トの動向を考える(その2)」
97/2/24(第4号)「為替レ-トの動向を考える(その1)」
97/2/17(第3号)「日本の金利水準と為替レ-トを考える」
97/2/10(第2号)「国と地方の長期債務残高を考える」
97/2/1(第1号)「株価下落の原因を考える」「今後の景気動向を考える」