経済コラムマガジン


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97/2/1(第1号)
株価下落の原因を考える
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  • 景気の先行きを占ううえで株価の動向が注目される。その株価が下落しており、企業の3月決算数字にも影響を与えそうである。 今回の下落は12月の翌年度政府予算案が確定した時から始まり、今なお不安定な状態である。
    この株価下落の原因ついて色々いわれているが、有力な論調は「予算案が従来型の整備新幹線などへのバラマキで市場が失望した」「政府の改革への取組が感じられなく、外人投資家の売、つまり日本売が始まった」と言うものである。この論調は新聞・週刊誌・テレビの全てで展開されている。しかし筆者にはこの考え方はちょっとおかしいのではないかと思われ、誌上で反論を試みたい。

  • 「整備新幹線などへの予算が思ったよりも少なかったから株価が下落した」と言うならば理解できるが、論調は正反対である。
    実際予算案は、歳出面では昨年度とほぼ同額(公共事業もほぼ同額)、歳入面では「特別減税の廃止・消費税のアップによる増税」により国債の発行をその分減額したものである。政府当局にとって「増税は予定通り」であり、「実際与党も増税を公約に選挙で戦ってきたのだし問題はない」と考えているはずである。一方経済動向も弱いながらも回復基調にあると判断し、特に景気対策をとる必要はないと考えているのだろう。
    結果、マクロ的にはまさに緊縮型の予算となっている。筆者は株価下落の主な原因は単純にこの「緊縮型の予算」にあると考える。さらに一部の投資家は「これで金融機関の不良債権解消のめどが遠のいた」と考え、金融機関株を中心にカラ売攻勢をかけ、拍車をかけたというのが今回の株価下落の本当のところではないか。

今後の景気動向を考える
  • では今後の景気の動向について、当マガジンなりに占ってみよう。株式市場やマスコミの大勢は悲観的である。一方、政府の見方はどうかと言えば、それがあまりはっきりしないのである一と言うよりもとりうる政策に余地があまりないのではないかと考えられる。
    建て前が「財政再建」であることから増税政策を今さらとりやめたり、公共投資を増額することはそれほど簡単にはできない。特に公共投資ついては「昨今の役人の不祥事」や「効率性の悪さ」に対してマスコミや世間の風当りが強いため、ここで増やすと言い出すことはできない。さらに本来ならこの様な場合、機動的に発動されるべき「金利政策」も公定歩合が史上最低であり、これ以上下げることはできないため機能しない。さらに金融機関も大量の不良債権を償却中で、企業への貸出金利をそう簡単に下げることはできない。まさに八方塞がりの状態である。

  • 唯一フォロ-の風は「為替」である。1ドル=120円という水準は輸出企業にとっては大変な助けとなる。もし今年景気の回復があるあるとしたら輸出主導・外需主導によるパタ-ンしか考えられない。

  • 事実、生産面は1月の鉱工業生産動向を見ても好調である。
    しかし内需は極めて先行きが暗い。12月のス-パ-の売上高は4ケ月ぶりに対前年度同月比がマイナスとなり、百貨店売上高も5ケ月ぶりにマイナスなっている。さらに4月以降は増税と「消費税アップをにらんだ住宅などの仮需」の反動で国内消費が相当落ち込むと考えられる。
    今後の景気動向は不足する内需をどれだけ外需がカバ-できるかにかかっている。そう言う意味で今後注目されるのは「アメリカの景気動向」と「円の為替レ-トの動向」である。

  • 外需に頼る景気回復は何も今回だけではないが問題がないわけでもない。貿易黒字を続け、その輸出主導型の経済構造が各国から非難を受けたのもそんなに昔のことではない。このままでは内需主導型経済構造を模索したいわゆる「前川レポ-ト」以前の状態に戻ってしまうかもしれない。一部マスコミによれば「世界における日本の存在感が小さくなっているので、経済についても対日要求はそんなに強くならない」と言う観測であるが、本当であろうか。


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